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超並列計算機用自動並列化コンパイラ実装に関する共同研究
【研究種目】基盤研究(B)
【研究領域課題番号】10044158
【研究分野】計算機科学
【研究期間】1998〜1999
【研究キーワード】自動並列化コンパイラ / 分散メモリ環境 / データ分割 / 中間表現 / 視覚化 / 並列計算機 / プログラム支援
【配分額】5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
研究概要
本研究課題では、まず、本研究グループで既に実装を終えているC++版のParafrase-2を整理し、Parafrase-2の中間表現部分と並列化/最適化部分の分離を行なった。同時に、本研究グループで既に提案しているデータ分割グラフを拡張した統一的中間表現を定義し、古い中間表現の削除されたC++版のParafrase-2に実装した。データ分割グラフの拡張部分とは、データ通信の最適化を中間表現内部に組み込むことである。この通信最適化は、バス結合された共有メモリ型並列計算機からワークステーション・クラスタに至るまで、一元管理を目的としたcc-COMA(compiler-controlled COMA)によってサポートされる予定である.次に、統一的中間表現とコンパイラの並列化/最適化部分のインタフェイスの定義を、Promisプロジェクトと連動して行ない、双方の統一的中間表現に、結果として互換性を持たせるようにインタフェイスの設計を行なった。さらに、いくつかの並列化/最適化部分を、統一的中間表現インタフェイスに合わせた修正を行ない、Narafraseのプロトタイプとした。平成12年2月現在、既に本研究グループで提案した統一的中間表現からデータとプログラムを同時に分割するアルゴリズムの実装に着手したところである.このアルゴリズム実装と、Parafrase-2で実装されていた全ての並列化/最適化部分のインタフェイス対応を行なうことで、Narafraseの中心部分の実装を終える予定である。
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マルチモーダルな対話機能を有し人間と共同作業をする次世代ロボットの基礎研究
【研究種目】基盤研究(A)
【研究領域課題番号】07405012
【研究分野】知能機械学・機械システム
【研究期間】1995〜1997
【研究キーワード】人間型ロボット / ヒューマノイド / マルチモーダルインタフェース / 2足歩行 / ロボットビジョン / ジェスチャー / 音声対話 / 協調制御 / ロボット / 人間形ロボット / マルチモーダルインターフェース / 対話ロボット / マンマシンインタフェース / 共同作業ロボット
【配分額】30,600千円 (直接経費: 30,600千円)
研究概要
本年度は、本計画の最終年度である。前年度末に試作した2体のヒューマノイド型ロボットをプラットホームとして、以下のような研究を行い、全員で統合システムとしての取りまとめを行なった。
1)環境モデルと実画像の対応付けによる自己位置認識システムの精度向上を図るとともに、環境変化に応じたモデル変更の方式を検討し試作ロボットでの確認を行なった。
2)音声と画像を手がかりとしたシーン中での対話相手の検出、およびカラー画像とロボット視覚系を用いた人間の顔表情とジェスチャー認識の実験を行なった。
3)連続音声認識の精度向上を図ると共に、並列処理系による高速化を試み、ジェスチャー、表情を合わせた、人間型ロボットによるマルチモーダル対話の実験に成功した。
4)試作ロボットをネットワークに接続し、遠隔地からの相互制御の実験を行い、情報ネットワークにおけるインターフェース端末としてロボットを使用する可能性を検討した。
5)完成した2足歩行系の自由度を増やし、方向変化等をより自在にできるようにすると共に、頭部、腕部などとの協調制御方式を検討し、実験的に検証した。
6)コンプライアンス制御による柔軟な腕機構の制御方式を改良すると共に、人間との共同作業とジェスチャー生成を行う安全な腕として、外装を含めた総合的な設計基準を検討した。
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マルチプロセッサ用自動並列化コンパイラとアーキテクチャ・サポートに関する研究代表研究者
【研究種目】基盤研究(C)
【研究領域課題番号】07680372
【研究分野】計算機科学
【研究期間】1995〜1996
【研究キーワード】マルチプロセッサシステム / 自動並列化コンパイラ / データローカライゼーション / 無同期細粒度並列処理 / データ分割配置 / ローカルメモリ / マルチグレイン並列処理 / データ転送オーバーヘッドの隠蔽 / データ分割配列 / データ転送オーバーヘッドの隠敵 / 並列アーキテクチャ / スケジューリング / シミュレーション
【配分額】700千円 (直接経費: 700千円)
研究概要
本研究では、マルチグレイン並列処理のためのデータローカライゼーション手法、及びデータローカライゼーションによっても除去できなかったプロセッサ間データ転送をプロセッサ上でのタスク処理とオーバラップさせデータ転送オーバーヘッドを隠蔽する技術を開発するとともに、コンパイラにおけるマシンコードスケジューリングの高度化とそれを支援するマルチプロセッサシステムアーキテクチャによりプロセッサ間データ転送順序の最適化も可能とする無同期近細粒度処理技術を開発した。さらにそれらの有効性をアーキテクチャシミュレータ上あるいは実際のスーパーコンピュータ富士通VPP500上で示した。具体的には、データローカライゼーション手法に関する研究では、配列データの自動分割手法(ループ整合分割)とローカルメモリへの割当て法(パ-シャルスタティックスケジューリング)を開発し、OSCARタイプ・アーキテクチャシミュレータ上で有効性を検証した。また、データ転送と処理のオーバーラッピングスケジューリング技術の開発では、Fortranプログラムを解析し富士通VPP500用の並列化拡張言語VPP Fortranを出力するコンパイラ(プリプロセッサ)を開発し、4プロセッサのVPP500上で平均で15%程度実行時間を短縮できることを確めた。
また、無同期近細粒度並列処理技術に関する研究では、高度なマシンコードスケジューリング技術をサポートするアーキテクチャを明確化するとともに、アーキテクチャシミュレータ上で無同期近細粒度並列処理におけるデータ転送順序最適化技術の性能評価を行い手法の有用性を確認した。以上の研究により、今後のベクトルパラレルスーパーコンピュータ、将来のシングルチッププロセッサのアーキテクチャ、及び自動並列化コンパイラに関する指針が得られた。
なお以上の研究成果は、14件の学会論文誌論文あるいは国際会議論文として発表するとともに、1件の学会誌論文として掲載決定、1件の査読付きシンポジウム論文、5件の研究会論文、12件の全国大会論文とした発表されている。
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信号処理を中心とする特定用途向けVLS[アーキテクチャ設計支援システムの研究
【研究種目】一般研究(B)
【研究領域課題番号】03452174
【研究分野】情報工学
【研究期間】1993
【研究キーワード】設計自動化 / ASIC / USIC / ハイレベルシンセシス / アルゴリズム記述 / 構造記述 / ハードウェア記述言語 / 信号処理アルゴリズム / 設計支援システム / 高位機能合成 / パイプライン処理 / 信号処理 / 専用プロセッサ / ハ-ドウェア要素 / マイクロプログラム
【配分額】6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
研究概要
われわれは、すでに本研究にさきだって5年間にわたり、高位記述に基づくVLSI設計支援システム(SYARDS)の研究を行ってきた。そして、このシステムを既存のVLSI論理合成システムと接続し評価を行い、このようなシステムの可能性を示した。本研究では、その基礎の上に立ってシステムをさらに高度化・一般化して、プロセッサ設計のみならず、その利用のための環境を含めたシステムを実現し、将来の上位設計支援技術の基礎を作ることを目的として進められた。具体的には、並列処理を含む仕様記述言語の整備、その解析系と命令のスケジューリング、シミュレータと処理回路合成などの問題を取り上げた。
本研究のもう1つのテーマとしては、多層並列回路の設計が取り上げられた。この研究は、松本隆が遂行し画像処理に必要となる規則性抽出フィルタの設計など重要な成果が得られた。
設計支援システム(SYARDS)は、高級言語(PascalまたはC)で記述されたアルゴリズムを実行する専用プロセッサを自動的に設計することを目的とするシステムである。この3年間の研究期間の中では、アルゴリズムに含まれる局所並列性を抽出した最適設計法、デジタル信号処理の実規模レベルのアルゴリズムを対象とする場合に必要となるビット幅決定の支援、C言語による並列処理記述の導入、パイプライン設計の最適化などの研究を進め、SYARDSを一層強力なシステムとすることができた。
この間、プロセッサ設計においても、その高速化にともなって、ハードウェアとソフトウェアの両面から適切な設計を考えるCodesignの概念も生まれてきたが、本研究は元来、ハードウェアだけでなく、そのプログラムを生成するコンパイラについても同時に作成することを特長としており、Codesignの考え方とも親和性が高い。
今後、SYARDSはこのような方向にも発展の可能性が高く、本研究の成果は今後のVLSI設計支援技術に大きな意義があると考えている。
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スーパーコピュータ用自動並列化コンパイラに関する研究
【研究種目】一般研究(B)
【研究領域課題番号】05452354
【研究分野】計算機科学
【研究期間】1993〜1995
【研究キーワード】並列処理 / 並列化コンパイラ / スーパーコンピュータ / マルチプロセッサ / Fortran / スケジューリング / 粗粒度タスク / マクロデータフロー処理 / マクロデータフロー処理処理
【配分額】7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
研究概要
主記憶共有マルチプロセッサシステム上でのFortranプログラムの並列処理では、従来よりマルチタスキングやマイクロカスキングなどの手法が用いられてきた.しかし,マルチタスキングでは,ユーザによる並列性指定が困難である,osコールなどによるスケジューリングオーバーヘッドが大きい等といった問題がある.マイクロタスキングは,最も広く用いられてきたループ並列化手法であるが,イタレーション間にまがる複雑なデータ依存やループ外への条件分岐によって並列化できないループが以前存在する.
これらに対して当研究者当は、マクロデータフロー処理手法を提案した.マクロデータフロー処理手法では,コンパイラがプログラムを粗粒度タスクへ分割し,粗粒度タスクの最早実行可能条件を解析することにより粗粒度のアスク間の並列性を自動抽出する.コンパイラが各ソースプログラム専用に生成したスケジューリングルーチンを用いることで,スケジューリングオーバーヘッドを抑えることができる.また,マクロデータフロー処理を行なう場合,各データをデータ転送を最小化するよう考慮し,各プロセッサ上のローカルメモリに配置(データローカライズ)することによって,より効率の良い並列処理が可能となる.
プロトタイプマルチプロセッサイステムOSCAR上での性能評価では,マクロデータフロー処理による粗粒度タスクの有効な並列処理を確認できた.また富士通VPP-500、Alliant FX/4、KSR1、NEC Cnju-3等,商用マルチプロセッサシステム上での性能評価でも,従来手法であるマルチタスキングおよびマイクロスタキングに比べ,マクロデータフロー処理の方が高い並列性の抽出が可能であることが分かった.さらに,それらの評価から従来手法に比べて低オーバーヘッドな処理を行なうことが可能で,プログラムの実行速度が向上することも確認された.
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マルチプロセッサ・システム上でのマルチグレイン並列処理に関する研究代表研究者
【研究種目】一般研究(C)
【研究領域課題番号】05680284
【研究分野】計算機科学
【研究期間】1993〜1994
【研究キーワード】マルチプロセッサシステム / 並列化コンパイラ / スケジューリング / 粗粒度並列処理 / ループ並列化 / 近細粒度並列処理 / マルチグレイン並列処理 / 並列処理 / マルチプロセッサ / スーパーコンピュータ / Fortran / 細粒度並列処理
【配分額】2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
研究概要
本マルチグレイン並列処理研究最終年度にあたる平成6年度では、当初の研究計画通り、平成5年度で開発した粗粒度並列処理手法と近細粒度並列処理手法及び従来の自動並列化コンパイラが使用していたループ並列化を階層的に組み合わせ、プログラム全域にわたる並列化を可能とするマルチグレイン並列化コンパイラを開発し、その性能を実マルチプロセッサシステム上で検証することに成功した。このマルチグレイン並列処理では、以下のような手順で並列化を行った。
1)粗粒度並列処理手法により並列化されるマクロタスクをプロセッサクラスタに割当て並列処理する。
2)プロセッサクラスタに割り当てられたマクロタスクがループ並列化が適用可能なループである場合には、プロセッサクラスタ内の複数プロセッサによりDoal1,Doacross等の技術を用いて並列処理する。
3)プロセッサクラスタに割り当てられたマクロタスクが逐次形ループあるいは基本ブロックである場合には近細粒度並列処理手法を適用してプロセッサクラスタ内プロセッサにより並列処理を行う。
また、上記マルチグレイン並列化コンパイラの開発においては平成5年度で開発した要素技術をさらに進歩させ、データ転送・同期等の並列処理オーバーヘッドを最小化する無同期近細粒度並列処理に関する研究も平行して行った。以上の研究成果は、別紙様式2に示すように、7件の学会論文誌論文、6件の国際会議論文、1件の海外図書における1章、3件の査読付きシンポジウム論文、10件の研究会論文、15件の全国大会論文、3件の学会誌あるいは論文誌解説論文として既発表あるいは発表予定である。
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音声特徴抽出法の高度化に関する研究
【研究種目】重点領域研究
【研究領域課題番号】62608010
【研究期間】1987〜1988
【研究キーワード】音声生成モデル / 音道モデル / 音声パワースペクトル包絡(PSE) / 極・零推定法 / ベクトル量子化 / 量子化分布 / 聴覚実験 / ホルマント
【配分額】10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
研究概要
音声の特徴抽出を行う場合, 音声信号中に音声情報がいかなる形で埋め込まれているかを追求しながら, これらの効率的な抽出方法を開発していくことが必要である. 本研究では次の4つの側面からの問題に取り組んだ.
1.生成モデルに基づく方法……音声生成モデルの精密化を行い, これから得られるパラメータの内, 有効性の高いものを有機的に組み合げ特徴抽出を行う. 本年度は母音モデルと子音モデルの融合を考え, 調音器官に対応する母音調音モデルの声道モデルへの変更を試みた. その結果, 声道モデルによってもほぼ正確に母音の推定を行うことができた.
2.音声パワースペクトル包絡(PSE)に基づく方法……PSEを『短時間パワースペクトル特性において周波数軸上で零周波数を原点として基本数時間隔で標本化した値を原データ系列とし, そこから雑音成分を除いて推定される最適値である. 』と定義する. これを対数スペクトルパワー次元で余弦級数展開モデルで表してパラメータ推定を行った. その結果, 従来困難であった/mo/と/noの対の零を明確に捉えることができた.
3.ベクトル量子化(VQ)に基づく方法……音響量を多角的に把握した上でベクトル量子化を適用し音響特徴と音韻特徴とのより有効な対応関係の確立をめざす. 本年度は量子化分布と呼ぶベクトル量子化頻度からなる特徴量を提案し, 音声信号中の話者性を捉えることを試みた. 具体的には, この特徴量により話者性を考慮した単語予備選択実験を行い, その有効性を確かめた.
4.聴覚実験に基づく方法……母音知覚における周波数構造の影響に関して検討を行った. その際, 口膣形状に応じてホルマントの分類を行い前口膣, 後口膣の共振周波数に対応するものをそれぞれFホルマント, Bホルマントとした. これらのホルマント間の関係の母音知覚に対する影響を調べたが, 今後は子音を含めて音韻境界が他の環境要因にどの程度影響されるかを調べていく.